ゲノム編集(Genome Engineering)特集
MEMO
ゲノム編集(Genome Engineering)とは
特定の遺伝子配列を特異的に認識するシステム「TALE-Nuclease」と「CRISPR-Cas9」の登場により,ゲノム編集の技術は目覚しい進歩を遂げてきました。これらのシステムを利用することで,従来の方法よりも簡単かつ迅速に,遺伝子のノックアウト・ノックインや安定発現細胞株の作製を行うことができるようになりました。また,転写活性化因子などの機能ドメインと結合させ,遺伝子の発現を制御する技術も開発されています*。
本特集では,CRISPR-Cas9 及びTALE-Nuclease システムの技術情報,簡単にシステム構築できるキット,ノックイン・ノックアウトに最適な相同組換え用ドナーベクターなどをご紹介します。
* Gilbert LA., et. al., Cell, 154 (2): 442-51 (2013). Luke A., et. al., Cell, 159 (3): 647-61 (2014).
Lixin Li, et. al., Plant Mol. Biol., 78 (4-5): 407-16 (2012).
システムの構築と操作が簡単
CRISPR-Cas9 System
標的配列に結合する『guide RNA』と,guide RNA に結合し標的配列を切断するタンパク質『Cas9』を利用するシステムです。
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ゲノム編集に有用なHR ドナーベクター
PrecisionX HR Targeting Vector
相同組換え(Homologous Recombination:HR)により遺伝子のノックアウト・ノックイン,タグ付け(タギング)を行えるドナーベクターです。CRISPR-Cas9 やTALE-Nuclease,ZFN と組み合わせて使用することができます。
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ゲノムへの組み込み・除去が可能な発現システム
PiggyBac Transposon Vector System
トランスポゾンを用いて非ウイルス的に目的配列を宿主細胞のゲノムに組み込み,安定発現細胞株を作製できるシステムです。一度ゲノムに組み込んだ目的配列を,専用のTransposase により痕跡を残さずに除去することができます。
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遺伝子組換えを一段階で行うシステム
phiC31 Integrase Vector System
目的遺伝子を導入するドナーベクターとphiC31 インテグラーゼ発現プラスミドを用いて,一段階反応で目的遺伝子をゲノムに組み込むシステムです。
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同質細胞株の作製に有用な遺伝子導入システム
PinPoint Targeted Integration System
まず目的遺伝子の挿入サイトを指定する配列を標的DNA に組み込み,続いてインテグラーゼとドナーベクターを用いて目的配列をその位置に挿入します。ゲノム内の同一の領域に組換えを起こすことができます。CRISPR-Cas9 やTALE-Nuclease を利用すると,任意の領域に挿入サイトを導入できます。
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